飛鳥Ⅱ「春のウィークエンドクルーズ」1日目
たぶん日本で最もよく知られたクルーズ客船「飛鳥Ⅱ」


先代の「飛鳥」は1991年に就航、順調に人気が出て、2000年代には多数のキャンセル待ちが発生する程に。そこで同じ日本郵船グループのクリスタルクルーズ社が運行していた「クリスタル・ハーモニー」を買い取り、「飛鳥」の後継として就航させたのが「飛鳥Ⅱ」となります。
ちょうどこの記事を書いている頃「飛鳥Ⅱ」は世界一周の旅に出ています。世界一周クルーズは今年7月に就航予定の「飛鳥Ⅲ」に引き継がれるため「飛鳥Ⅱ」が世界一周を行うのは今年が最後。しかし引退するわけではありません。今後も日本近海のショートクルーズを中心に活躍することになっており、来年には就航20周年を記念して東アジアクルーズが予定されています。
「飛鳥Ⅱ」としては20周年ですが、「クリスタル・ハーモニー」としての就航が1990年ですから、船齢は実に35年にもなります。


そんな「飛鳥Ⅱ」に、乗ってきました。「神戸発着 春のウィークエンドクルーズ」。2025年3月1日19時に神戸港を出港、同3月3日9時に神戸港帰港。途中の寄港地無し、2泊3日のクルーズです。
前回乗った「にっぽん丸」に比べると、大きい。これでも最近のクルーズ船のトレンドからすると小型で、日本で発着する中では最大級の「MSCベリッシマ」(17万総トン)の3分の1以下のサイズ(「飛鳥Ⅱ」は5万総トン)、乗客数では実にベリッシマの16%程度。
海王丸を見学した後、「かもめりあ」のコインロッカーに預けてあった荷物を出し、中突堤の神戸メリケンパークオリエンタルホテル内にある中突堤旅客ターミナルへ。旅客ターミナルに入るのも初めて。まず荷物を預け、ロビーでしばし待ちます。預けた荷物は客室前まで運んでくれます。
乗船
乗船は15時からですが、一番上のデッキ(=上級の客室)から順番なので、私たちの乗船はほぼ16時前となりました。ロビーから税関のあるCIQエリアに移動(海外へは出ないので税関は閉まっています)、そこで受付を済ませて乗船。
19時の出港予定でしたが、神戸港で週末に開催されているウイークエンド花火を、最適な場所で見るために15分早く離岸するとのことでした。
乗船して最初に目につくのはアスカプラザの巨大なLED映像、さんざんいろんな人の動画で見てきたので「おお、これが噂の!」という感じ。


私たちの船室は船尾にありました。客室前においてくれた荷物を取り、室内へ。Fステートなのでベランダはありませんが、ビジネスホテルよりも広くていい感じです。シモンズのベッドはふかふか。寝心地良さそうです(実際、熟睡できました)。

船内の決済
避難訓練のあと、一番にショップに向かいました。客室キーと決済手段を兼ねる乗船券を入れるネックストラップを手に入れるためです。
ショップはまだ開いていませんでしたが(乗船から避難訓練の間は閉まっていました)、行列ができています。限定の「飛鳥もなか」を手に入れる行列でした。「飛鳥Ⅱ」名物ですが、数が少なく、かなりレアな商品。私たちは残念ながら間に合わず。
オールインクルーシブですが、アルコール飲料などは別料金。ショップの買い物も含め、船内での支払いはすべて部屋付けにできます。請求書が届き、下船前に支払うか、クレジットカードを登録することで、カード決済することができます。「にっぽん丸」では、乗船後にカードと乗船証を紐づけていましたが、「飛鳥Ⅱ」では、乗船する前にWEBから登録ができました。


11デッキのリドカフェへ。ビュッフェスタイルのレストラン。朝食と昼食でお世話になる予定。この時間でも飲み物や軽食をいただけます。ちょっとシステムが分からず、スタッフの方に聞いたり。カトラリーセットと「食事中」の札をとって座席を確保してから料理を取りに行くようです。食事が終わって席を立つときは「食事中」の札を裏返すと食事終了となり、片付けてくれます。
「飛鳥Ⅱ」での最初の食べ物はハンバーガー。パティおいしい。
窓沿いの席に座りましたが、西側で西日が差し込んで少し暑い。ブラインドを下したいと思ったのですが、隣の席の向こうだ、と思っていたら、その席の方が察してくれてブライドを下ろしてくれました。わりと気さくなお客さんが多かった印象です。


出港
そうこうするうちに出港の時間となります。遅い時間ということもあるのでしょう。特にセレモニーもなく静かに離岸しました。
後で調べてみたら、出港セレモニーもそうそう毎回やるものでもなさそうです。






後進のまま旋回して、メリケンパークの沖合で停船。19時、まさに目の前で、花火が打ちあがりました。
陸地から見るのとは反対側、遮るものない海の上で花火を楽しんだ後、汽笛を鳴らしながら今度こそ本当に出港。

観覧車に「いってらっしゃい飛鳥Ⅱ」の文字が。粋なことやりますね
夕食
夕食はフォーシーズンダイニングで。2回制。私たちは申し込み時1回目を希望していたのですが、人数の関係で2回目に回されました。
コース料理ですが、メインとデザートは3種類の中から選べます。「シェフのお薦め」にマークがついているので、ほとんどの人はそれを選ぶのでしょう。私もお薦めを選びました。
そして飲み物は…ワインがずらり。名前言われてもわからんのですが。いやビールなんかもあることはあります。ソフトドリンクは無料でした。外国船は水すらも有料だったりがあるのですよね。








後日、この記事を書くためにメニューを見返していたのですが、船外で購入して持ち込んだ酒類は抜栓料が発生する、と、ありました。
逆にいえば、お酒持ち込み可ということですね。「客が持ち込んだものからも金とるんかい」という声が聞こえそうですが、だいたい「持ち込み禁止」が普通だと思いますので。
ビスタラウンジ
食後、11デッキに上がり、最前部のビスタラウンジへ。前方大きなガラス窓に覆われ、「270度のパノラマを見渡せる」という触れ込み。来てみたかった場所でもあります。とはいえ、夜はさすがに何も見えない。
ここでハーブティーを注文。普段まず飲むことがないものですが、こういう場なので。


船はすでに友ヶ島水道を抜け紀伊水道を南下中。

グランドスパ
日本船の特徴は無料で入れる大浴場があることでしょうか。外国船でも、日本人客を狙った「ダイヤモンド・プリンセス」などにはスパがあったりしますが確か有料。
「飛鳥Ⅱ」のグランドスパには露天風呂があります。船の上の露天風呂、不思議な感じです。妻は潮風で髪の毛がごわごわになったそうですが。
少し脱衣場が狭かった。人が多かったというのもあるでしょうか。浴場内では混んでいる感じはなかったのですが。人気の設備で、いつも人が多い感じはします。
ネット接続
船に乗った時くらいネットから離れても…というのもありですが、海外船などでは船内Wi-Fiを介して乗客にいろいろサービスをしていたりするので、船内のネット環境は重要だったりします。
「飛鳥Ⅱ」のインターネット接続はスターリンクです。時間制限があります。客室のグレードによって違い、私たちの場合は1回60分で1日10回まで(有料で無制限にもできます)。合計10時間使えればまあ充分ですが、この時間制限が曲者で、接続時にWiFi接続のほかにネットワークへのログインを要求されます。これが、いまのスマホなどだとかえって操作が難しい。
以前に乗船した「にっぽん丸」は、本来は有料で時間制限付きでしたが、私たちが参加したクルーズでは無料無制限となっていました。これはかなり特別で、クルーズ船では船内WiFiはともかくインターネットへ出るのは有料が一般的です。「飛鳥Ⅱ」も時間制限があったり操作がむずかしいなどありながらも、無料利用可能なので、かなりいい方かもしれません。