「夜空を見上げて-古墳時代から江戸時代まで-」(射水市新湊博物館)

射水市新湊博物館(富山県射水市)で開催された企画展「夜空を見上げて-古墳時代から江戸時代まで-」に行ってきました。

射水市新湊博物館

会場に入っていきなり目の前に現れるのが、高松塚古墳石室の実物大再現模型。実際の石室は大人が一人寝るのがやっとの大きさですが、歩いて入れるよう、床部分を高くしてあります。仰向けに寝転んだとすると、天井の天文図が視界いっぱいに広がる感じ。
気が付いたのですが、奥が玄武ということは、北枕ですね。

この石室壁画を含め、模型はすべて手作りとのことです。

そこで振り返ると、壁一杯を占める江戸時代最大級の星図「天象研究改正真図」が目を引きます。縦2.75メートル、横7.6メートル、よく展示できたなと思うようなサイズです。
この星図を作ったのは、諸国を旅しながら一般の人に天文を教えていた朝野北水という人。戯作者だったようです(via 「月刊うちゅう 2010年1月号 日本における天文普及の歴史」)。

これだけ大きいと星の並びなどわかりやすい。大勢の人々を前に星の見つけ方などを教えるにはいいかもしれません。割合詳しくて、二重星団なども描かれています。ただ、二重星団の位置に「積尸気」と書いてあったのですが、誤ったものでしょうか(「積尸気」はプレセぺ星団の事だったと思います)。

江戸時代までの星図を見ると、現代の星図、とくに現行星座と同定してみてくなるのは常ですが、対照星図が用意されていました。これも職員さんの手作り。何気に置かれていましたが、力作だと思います。実際に同定するのは、星座の数や、星の位置も必ずしも正確でなかったりすることを考えると大変な労力ではなかったかと思います。

朝野北水ですが、調べると各地に足跡が残っていて、山梨や長野でも企画展が開催されたりしています。ただ、富山藩の本には「天文の事には詳しくない」と書かれてしまっているとのことです。当時の富山には優れた天文家がおられたので、そのような評価になってしまったのではないかとのこと。

また、彦根城から借りてきたという井伊家の望遠鏡や、江戸時代日本最大の望遠鏡などの展示がありました。

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